感染症が流行すると、アルコール消毒スプレーが品薄になることがありますよね。
そのため代用品として「度数の高い酒なら、手指やドアノブの消毒用として使えるのでは?」と考える人もいるでしょう。
そこで今回は、ウォッカ・焼酎・ウイスキーがアルコール消毒の代用になるのか解説します。
目次
アルコール消毒するための前提条件
アルコール度数70%以上を推奨

結論から言えば、アルコール度数が70%以上で消毒を妨げる成分が入っていない酒ならアルコール消毒できる可能性があります。
厚生労働省の特例(詳しくはこちら)によると「アルコール濃度が70~83%の酒であれば消毒液の代用として使用を認める」との事です。

また、一般的にも殺菌・消毒効果をするにはアルコール濃度60~95v/v%が適当だと言われているので、最低でも60%以上の酒でないと消毒効果は得られないでしょう。
一般に「消毒用エタノール」と言われる80v/v%くらいの濃度の殺菌力が最も強く、50 v/v%以下になると、十分な消毒効果は期待できません。また、無水エタノール(99.5v/v%以上)のように濃度が高すぎても消毒効果が低くなったり、手荒れを起こすことがあるので、60~95v/v%を選んでください。
引用元:https://bit.ly/2wzSPIJ

酒で代用するのは難しい
さて、ここまで読んでお察しかと思いますが…
酒でアルコール消毒をするのはハードルが高いです。
アルコール度数が60%以上の酒となると、ごく僅か。
2章以降では「消毒効果が期待できる酒」について紹介していますが、正規のアルコール消毒スプレーと同様の効果が得られる保証はありません。
ちなみに、物品についてはアルコール以外でも消毒可能です。
詳しくは下の記事で紹介しているので、こちらも参考になれば嬉しいです。
【ウォッカ】スピリタスなら消毒効果が期待できます
70度以上のウォッカはどれ?

1章で説明したとおり、消毒をするには最低でも濃度60%以上。厚生労働省を参考にするなら濃度70%が必要です。
そこでアルコール度数が70%以上のウォッカを探してみたところ、下記のスピリタス・ドーバースピリッツ88・バルカン176などが該当しました。
ウォッカの銘柄 | 度数 |
---|---|
スピリタス | 96度 |
ドーバースピリッツ88 | 88度 |
バルカン176 | 88度 |
奥飛騨ウォッカ | 40度 |
スミノフ | 55度 |

スピリタスは成分のほとんどが純粋なアルコールなので、消毒効果が期待できます。
ただ、他の2つについては消毒効果があるのか確認できませんでした。
アルコール度数については問題ありませんが、消毒に適さない成分が含まれている可能性があるのでオススメしません。
スピリタスなら効果が見込めます
最もアルコール度数の高いスピリタスは、なんと96%。
口コミでもアルコール消毒スプレーの代用として話題になっていますね。
最近はマスクだけじゃなく手指消毒用のアルコールスプレーも品薄で手に入りづらいですが、スピリタス(アルコール度数96%のお酒)を精製水で薄めることで代用できるかも? pic.twitter.com/MKGoxpULK1
— あんどう@人工知能と競艇 (@t_andou) February 21, 2020
消毒用アルコールないんだったら
スピリタスとか焼酎とか代用でどうでしょう— みっち~ (@Kimikuoti) April 2, 2020

スピリタスについては、確かに消毒効果が期待できますが…
ただし『アルコール協会』によると、スピリタスで消毒するのは非推奨とのこと。
一定の効果は期待できるものの、正規の消毒液と同様の効果があるかは保障できないそうです。
また、どうしてもスピリタスを使いたい場合ばアルコール度数を調整しましょう。
スピリタスは度数が高すぎるので、精製水(不純物のない水)と混ぜて濃度70~80%くらいに調整してみてください。

40度のウォッカでは代用できません
ウォッカの平均度数は約40度。
そのため「40度のウォッカでアルコール消毒できないの?」と思う人もいるでしょう。
しかし、40度のウォッカでは消毒効果が期待できません。
アルコールは濃度によって性質が変化するため、濃度が低いと十分な消毒ができないのです。
【焼酎】度数が低いため代用できません
焼酎では代用できません

残念ながら、焼酎ではアルコール消毒の代用にはなりません。
1章の『ウォッカ』で説明したとおり、アルコール消毒には最低でも60%以上が必要です。
しかし、焼酎の度数はどれだけ高くても45%。
度数が低いため、アルコール消毒できるほどの効果がないのです。

焼酎は45度以下と規定されています
実を言うと、焼酎のアルコール度数には規定があります。
大量生産されている『連続式蒸留焼酎』は36度未満。
芋焼酎・麦焼酎・米焼酎など『単式蒸留焼酎』は45度以下。
アルコール消毒するには濃度60%がラインなので、どの焼酎も代用はできません。
【ウイスキー】消毒用としてはオススメしません
ウイスキーのアルコール度数

ウイスキーにはいろいろな種類があり、一般的なものであればアルコール度数は40~43%。
もちろん製品によってアルコール度数が変わるため、実際には約37~69%と濃度の幅は広いです。
度数の高いウイスキー一覧
アルコール度数の高いウイスキーを一覧表でまとめました。
知名度が高くアルコール度数が高いのは、以下の銘柄となります。
ウイスキーの銘柄 | 度数 |
ブラントン・ストレート・フロム・ザ・バレル | 65度~69度 |
ブッカーズ | 63,5度 |
アベラワーアブーナ | 59.9度 |
オールドグランダッド | 57度 |
ボウモアテンペスト | 56度 |
『ブラントン・ストレート・フロム・ザ・バレル』や『ブッカーズ』なら、アルコール度数が60%を超えていますね。
1章でお話したとおり消毒効果は60~95%が適当なので、この2つならアルコール消毒の代用になるかもしれませんが…
他の酒と同様に、ウイスキーを消毒用として使用するのは非推奨です。
アルコール度数もギリギリですし、消毒に適さない成分が入っている可能性があります。
多少なら消毒効果があるのかもしれませんが、正確なデータや根拠となる文章(協会の解説など)がないため、この記事では非推奨といたします。
補足|アルコール協会はスピリタスを非推奨

『一般社団法人アルコール協会』によると、スピリタスで消毒するのは非推奨とのこと。
一定の効果は期待できるものの、正規の消毒液と同様の効果があるかは保障できないそうです。
日本で厚労省が定める医薬品の基準「日本薬局方」では、消毒用エタノールの濃度は76.9%から81.4%の間と定められている。酒類に含まれるアルコールと消毒用のエタノールの化学組成は全く同じなため、消毒効果はあると説明している。
しかしスピリタスを希釈して使うとしても正規の消毒液と同様の効果があるかは保証できないとのことで、また希釈したものを消毒液と称して販売したりすれば、薬機法違反となる恐れもあるとアルコール協会の担当者は取材に答えている。
引用元:https://www.j-cast.com/2020/02/25380524.html?p=all
消毒効果はあるが非推奨という、若干ややこしい説明。
恐らく、理論上はスピリタスで消毒できるものの正確なデータが無いため非推奨…ということだと思います。

まとめ|アルコール消毒スプレーの代用になる酒
代用するなら濃度70%以上が必要です

アルコール消毒をするためには、濃度60~95%でないと消毒効果が期待できません。
厚生労働省も「代用する場合は濃度70~83%の酒を対象にする」としています。
お酒で代用する場合、アルコール度数が70%以上のものを選んだ方がいいでしょう。
理論上はアルコール度数60%でも消毒できますが、手指に水分が付着している可能性を考えると濃度60%ではやや不安が残ります。
効果が期待できるのはウォッカ
ウォッカ・焼酎・ウイスキーを比較したとき、アルコール消毒できる可能性が高いのは「スピリタス」というポーランド産のウォッカです。
アルコール度数が96%であり成分のほとんどがアルコールなので、今回紹介した中では最も可能性が高いでしょう。

焼酎では代用になりません
日本で販売されている焼酎は、規定により45%以下と決められています。
濃度が低いため、アルコール消毒の代用にはならないでしょう。
それでは、ここまで読んでいただきありがとうございました。